日本初の大型ICOで、「COMSA」が100億円調達!というニュースが紙面に踊ったのはつい最近で、皆さんの記憶に新しいと思います。
このニュースは、ビットコインをはじめ仮想通貨に興味のある方にはもちろんですが、その他、金融関連の、特に株式市場に携わる人には大きなインパクトを与えたのではないでしょうか。
では、このCOMSAとは一体なんで、その魅力や今後の課題はなんなのか?簡単に、出来るだけ分かりやすく解説してみたいとおもいます。
COMSAのICOとは?
仮想通貨関連のニュースにアンテナを張っていらっしゃる方は、最近良く耳にされているとおもわれるCOMSAですが、これは仮想通貨関連の日本のベンチャー企業であるテックビューロー社が新しく開設した、ICOによる資金調達のためのプラットホームです。

「COMSA」は、Computerの「Com」と日本語の鎖「さ(SA)」を併せた造語だそうです。テックビューロー社は仮想通貨取引所のZaif(ザイフ)の運営会社でもあります。
COMSAの機能をわかりやすく、証券市場に例えると、ICOがIPOだとすると、COMSAは東証やJASDAQのような、売買の為の市場機能を果たすプラットフォームということになります。
ただ、株式市場では会社が発行する株式が売買されるのに対し、COMSAでは、プロジェクト単位に紐づいたトークンが発行されるという違いがあります。
トークンとは、ビットコインなどのブロックチェーン上で発行される独自のコインの総称です。トークンは発行されただけでは価値がなく、流通させることで価値が生まれます。
ですのでトークンの発行主体は、いろんな工夫を凝らして、トークンを広め、その価値を高めようとします。
また、ここがややこしいのですが、COMSA自体は、技術面、リーガル面を含むトークン発行の為の仕組みをパッケージで提供し、発行されたトークンの流通は、仮想通貨取引所(現状、Zaifのみ。)を通しておこないます。
COMSAのICOの特徴
少し突っ込んだ話になりますが、我々が証券市場を通して、IPO株や上場株式を買うときは、その会社自体の資産内容や業績、事業内容、今後の事業計画などを見て良し悪しを判断して、良さそうな株を買う訳ですが、トークンを買う場合は何を判断材料にすれば良いのでしょうか?
実は、この点がICOトークンを買う場合の1番の課題で、実際には、そのトークンを用いて今後行われる事業、プロジェクトの「ビジネスモデル」「実現可能性」「将来性」をホワイトペーパーという概要書などを読んで、自身で分析し、判断するしかありません。
ICOのプロジェクトは、ブロックチェーンなどの専門的な技術を用いた新しいシステムやプロジェクトにまつわるものが多いので、一般の人間には、判断が非常に難しいのです。
よってICOの活発な海外では詐欺まがいのICOが頻発し、騙される投資家が増えているのが現実です。
COMSAは、この点に着目し、証券市場が株式の売買で果たしているのに近い役割を担おうとしています。ICOを実施したい主体は、まずCOMSAに申込みをし、受理されたプロジェクトのみがCOMSAでのトークン発行が許されます。
投資家は、COMSAの一定のお墨付きを得たトークンの中から投資対象を選ぶことができますし、発行主体は、独自にトークンを発行するよりも、COMSAの仕組みを使った方がコスト、手間、セキュリティ面で有利な発行を行うことができるように設計されています。
COMSAのICOの大型ICOが与える影響
このCOMSA自体が、今回ICOを実施し100億の資金調達を成功させました。これは、単なるICOによる資金調達の成功という意味でけではなく、COMSAというプラットフォームに対する期待の表れということができるのではないでしょうか?
ベンチャー企業や新規事業の為の資金調達手段という意味では、従来のプレーヤーである、証券会社、監査法人、証券取引等にとっては大きなライバルが現れたことになります。
これらの企業は、株式上場の仕組みを通して、主幹事報酬や、監査報酬、上場料上場維持費用などで大きな利益を得ていますので、率直に言えば、既得権益を荒らす新参者と写っているかも知れません。
ICOプラットフォームCOMSAの今後の課題
このようにICOの問題点を解決すべく作られたコムサですが、現状自身の問題点がないわけではありません。まず、COMSAを通じて発行したトークンの取引流通の場所が仮想通貨取引所のZaifしかないと言う点。
これはトークンの流動性と言う意味ではかなり弱いのではないかと思われます。また、もう一つの大きな課題としては、トークンを発行する良質な企業やプロジェクトが集まるかという点。後者に関しては、個人的には、株で言うところの、グリーンシートや東京プロマーケットのようになってしまわないかと危惧しています。
立派なプラットフォームがあっても魅力ある投資対象(トークン)がないと投資家は集まりません。
今は話題と期待先行で盛り上がりを見せているCOMSAですが、プラットフォームとしての機能が、魅力ある会社やプロジェクトによって使われ、魅力的なトークンが発行され、初めて投資家が集まると思いますので、今後のトークン発行予定の顔ぶれが楽しみです。
また、流通面でも、COMSAと同じ運営元のテックビューローが運営するZaifだけでなく、他の大手仮想通貨取引所であるbitFlyer(ビットフライヤー)やビットバンクなどでも、COMSAで発行されたトークンが取り扱われるようになるかどうかも注目をしていきたいと思います。