本当に仮想通貨?みずほFGなどが発行する「Jコイン」とは?

仮想通貨・暗号通貨

今年の9月、みずほファイナンシャルグループを筆頭に、ゆうちょ銀行や横浜銀行等数十の地銀が手を組み、「Jコイン(仮称)」という新会社を立ち上げるという発表が有りました。

新会社の目的は「個人がインターネットやお店などで使える新しい仮想通貨の創設。」とのことでしたが、このJコインとはいったいどのようなもので、Jコイン発行の目的はなんでしょうか?簡単に解説していきたいと思います。

みずほファイナンシャルグループのJコインとは?

9月17日付けの日経新聞に「邦銀連合で仮想通貨」という見出しが躍りました。最初にこの見出しをみて、私などは、ビットコインなどの従来の仮想通貨を連想し、信用力のある銀行が発行する仮想通貨であれば、仮想通貨に対する漠然とした怪しさ、不安感という点が払拭できるので、これは面白いかも。

人気が出てコインの価値が上がりそうだから買いたいな。ZaifbitFlyer(ビットフライヤー)などの取引所で買えるようになるのだろうか?と一瞬思ってしまいました。しかし、記事を読み進めてみると、少し様子が違うことに気付きました。

みずほファイナンシャルグループのJコインの全容についてはまだ未確定な部分が多いようですが、新聞発表によると、Jコインは、銀行が発行主体となる新しい仮想通貨であって、円と等価交換できて、銀行の預金口座とつなぐことにより、仲間同士や企業とのあいだで決済のお金を自由にやり取りできるもの、ということでした。しかもJコインの利用は日本国内のみ。

先ず、Jコインが銀行が発行する仮想通貨と聞いて何か違和感を感じた人は少なくないと思います。また、円と等価交換できるという部分でも大きな違和感を抱いたのではないでしょうか?

確かに仮想通貨という言葉の定義はまだ新しく、あいまいな部分もありますが、一般的な仮想通貨から連想するのは、従来の法定通貨の様な政府や中央銀行などの発行元が無く、国境なく色々な通貨で売買が可能で、その通貨の価値も、一定の管理者によりコントロールされるものではなく、その需給により価値が自由に変動するというイメージではないでしょうか。

みずほファイナンシャルグループのJコインは本当に仮想通貨?

この記事で説明されているJコインは、私の受けた感覚では新手の電子マネーというイメージでした。

電子マネーは、スマホ等の媒体に電磁的に記憶された形の見えないデジタルなお金で、お店などで便利な支払手段としてつかえ、Suicaやnanacoなどの電子マネーにはJR東日本や、セブン・カードサービスなどの発行元が有ります。

また、使えるのは日本国内限定で、日本円でしか決済ができないという点も良く似ています。

では何故、Jコインは仮想通貨でなければいけないのでしょうか?

「改正資金決済法」上では、「資金決済に関する法律の2条5項」代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)となっています。

一方電子マネーは、商品券類似の前払いの支払い手段の一種で、不特定の者に対して使用することが出来ない、つまり独自で開拓した決済可能なお店以外では利用できない決まりになっています。

この点が今回銀行業界がこだわった、Jコインが、アリペイなどのようなサーバー型電子マネーではなく、仮想通貨でなくてはならない理由なのではないでしょうか?法律の条文解釈の厳しい日本においては、銀行連合がJコインで果たしたい機能、役割を実現するには、Jコインは法的に仮想通貨でなければならないという事でしょうか。

みずほファイナンシャルグループのJコイン発行の目的

では、仮想通貨Jコイン発行の目的は何でしょうか?まず考えられるのは、世界でも有数の現金決済大国日本における銀行ATM等のコスト削減があげらえます。

厳しい経営環境におかれている地銀などはすでに自前主義を捨てて、ATM機をセブン銀行の持つより低下価格の物に代える等のコスト削減策を打ち始めているようですが、それ以上に現金決済が減ればATM自体の数も減らすことができます。

この点は、もしこのコスト削減効果が利用者にも還元されるのであれば我々にとっても望ましいことです。Jコインを使っての個人間、及び企業と個人間の決済手数料がどうなるかは是非注視していく必要がある重要なポイントです。無料になれば当然、Jコインの利用は進むのではないでしょうか。
また、コスト削減目的という意味では、Jコインにおいてブロックチェーンの分散型元帳技術が使われるのであれば、銀行内での決済業務に係わる業務コストの大幅な削減も見込めます。この点は、まだ細部が明らかにされていないので何とも言えないところではあります。

もう一つの目的として、アリペイやアップルペイなどの海外勢の日本市場への進出攻勢への対抗です。

具体的に言うと、アリペイやアップルペイの様なプラットフォーム型の電子マネーにおいて、決済時に全ての購買データなどがビックデータとして吸い上げられ、貴重なマーケティングデータとして利用されています。

国内の重要なビッグデータが海外勢に奪われ、将来そこに出現するであろうビッグマーケットをみすみす海外勢に奪われてなるものかという覚悟が今回のJコイン創設に表れているのではないでしょうか。

無論、Jコインが普及し、購買、決済のビッグデータが蓄積されたとしても、銀行にそれをうまく利用するノウハウがあるかどうかというのはまた別の問題になりますが。

因みに、アリペイなどでは、海外において既にこのようなビッグデータをうまくビジネス化して利益を上げており、その対価として振り込み手数料を無料にするというモデルが実現できています。

みずほファイナンシャルグループのJコイン まとめ

Jコインの概要とその発行の目的を簡単に解説してきましたが如何でしたでしょうか。

まだ発表されて間もなく、明らかにされていない部分も多いJコインですが、新会社設立に参加する都銀、地方銀行の現在おかれている経営環境や、今後の決済市場における海外勢を中心とした競合の状況から、色々と推測できる部分も多いと思います。

我々利用者側としては、Jコインが仮想通貨であれ電子マネーであれ、その利便性と利用コストが一番気になる部分であり、Jコインが銀行の旧来のコスト体質の改善と、ひいては我々利用者の手数料の低下、無料化に繋がれば言う事はありません。Jコインの今後のプロジェクトの進捗を期待をしながら見守っていきたいと思います。

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