11月初旬に予定されていたビットコインのsegwit2xが無期限延期となったことは、ビットコインだけでは無く、ビットコインキャッシュや他のアルトコインなど、各方面に大きな影響を与えました。
この決定により、ビットコインが直面するスケーラビリティー問題に対する対応が先延ばしとなってしまい、また、少なくないマイナーがビットコインのマイニングから離脱する原因にもなりました。
ますます深刻化するビットコインのスケーラビリティー問題ですが、今後の対策はあるのでしょうか?今回は、ビットコインのスケーラビリティー問題解決の最期の砦と言われている、ライトニングネットワークについて分かりやすく簡単に解説していきたいと思います。
ビットコインのスケーラビリティー問題
11月8日のsegwit2xの無期限延期の発表を受けて、ビットコイン及びビットコインキャッシュの価格は大幅に上がりました。
ただ、この上昇の理由は様々で、ビットコインはsegwit2xの反対派を押し切った強行実施によるマイナーや参加者の分裂をとりあえず避けられたという安心が大きかったのではないかと思います。
一方、ビットコインキャッシュの上昇の理由は、これでビットコインが抱えるスケーラビリティー問題は今回も解決せず、早晩バックログ(未承認取引)の致命的な詰まりを発生させ、立ちゆかなくなるのではないか?その際に、ビットコインキャッシュがそのポジションを取って変わるのではないか?という期待だったのではないでしょうか。
確かにビットコインキャッシュはビットコインと違い、ハードフォークの時点で、ブロックのデータ格納容量を8MBにしており、スケーラビリティー問題は既にクリアしているかのようですが、実際はハードフォーク当初よりマイナー不足という別の問題を抱えています。
確かにビットコインキャッシュには緊急難易度調整アルゴリズム(EDA)が内蔵されているので、マイナー不足などでハッシュパワーが不足した時に調整は可能ですが、それにしても最低限のマイナーが参加してくれないと、取引の承認に時間がかかり、ユーザーが取引承認までに長時間待たねばならず、ズケーラビリティーと同じ問題を引き起こしてしまいます。
また、ビットコインのマイナーがビットコインキャッシュのマイナーを兼ねていることが多いという現状では、マイニングコストの変動や運営方針等の変更があるたびに、その人たちは両方を行き来してマイニングに参加しているというのが実情のようです。
よって今回のsegwit2xの無期延期により、ビットコインのマイナーの中でより大きなブロックサイズへの移行を支持していた人たちが多くビットコインキャッシュに移ったようで、これはビットコインキャッシュにとっては、大きなプラス要因となったのではないでしょうか。
このように、その通貨の価格形成や将来を左右しかねないスケーラビリティー問題ですが、ビットコインは今後どのように対応していくのでしょうか?
ビットコインのライトニングネットワークとは?
segwit2xが棚上げされた今、一番注目されているのがライトニングネットワークプロジェクトです。ライトニングネットワークとは、スマートコントラクトをブロックチェーン上に組み込むことにより、個人とその個人がやり取りする相手全員との間にプライベートなペイメントチャネルを構成するというのもです。
この際、各個人はこのプライベートなチャネルとともにビットコインのブロックチェーンとつながるチャネルも同時に構成します。
このライトニングネットワーク上では、各個人は、取引をプライベートチェーン上で行い、最終的な取引結果のみがブロックチーンに取引として送られます。これにより、マイナーが承認すべき取引のデータ量が圧倒的に削減されます。つまり、ライトニングネットワークは、スケールフリーで効率的、より低コストの取引承認の仕組みであるということが出来ます。
このライトニングネットワークですが、ビットコインのスケーラビリティー問題を、コミュニティー分裂というリスクを負うことなく、解決できる唯一の策ではないかと言われ注目されています。
現在スケーラビリティー問題をめぐっては、他のアルトコインも諸々の施策を行っています。
ブロックサイズを拡張したり、独自のマイニングシステムを開発しマイニングにかかる時間を短縮したり、また、イーサリアムのように、ライトニングネットワークに類似した、Raidenネットワークというペイメントネットワークを採用したりと、手法は様々ですが、どこもスケーラビリティー問題への対応は最重要課題ととらえているようです。
ビットコインのライトニングネットワーク まとめ
ビットコインのライトニングネットワークについて簡単に解説してきましたがいかがだったでしょうか。
ビットコインのスケーラビリティー問題を解決する最後の糸口、砦とまで言われているライトニングネットワークプロジェクトですが、正式に採用され実施に移されるかどうかは、今後のビットコインの普及、価格形成を占う上でとても大きなポイントになると思われます。
他のアルトコインに先行し、断トツの知名度、取引量を誇るようになったビットコインですが、それゆえに拡大したコミュニティーが抱える既得権益や運営方針をめぐる相違等が発生し、身動きがとりにくくなっていることも確かです。今回のsegwit2xをめぐるドタバタ劇もその表れではないでしょうか。
ビットコインキャッシュをはじめビットコインを追いかける立場のアルトコインは、ビットコインの経験を反面教師としてより良い機能やシステムを迅速に取り入れてきています。
今後、ビットコインコミュニティーの参加者は、今まで以上に危機感を持って、スピーディーに問題解決や意思決定を行う必要があり、待ったなしの状況である言えるのではないでしょうか。
最後になりましたが、これからビットコインやアルトコインの売買を行おうと考えている方は、下記記事も是非参考にしてください。

